BLOGコラム

2022/2/11お役立ち情報

日本の最先端建材 ~自己治癒コンクリート『バジリスク』~

【一般的なコンクリートとは】
家屋の基礎や、公共建造物などでよく見るコンクリートは、今や構造物に欠かせない物です。
コンクリート自体は、セメントから出来ています。
その配分により、呼称が異なります。

 

出典:一般社団法人セメント協会


【コンクリートの利点】

① 自由な形のものが作れる。
② 耐火性がある。
③ 耐久性が高い。
④ 圧縮に対する抵抗性が大きい。

 

※出典:株式会社PSK


【コンクリートの欠点】

① 引張りに対する抵抗性が小さいため、ヒビが入りやすい。
② 質量が大きい。※利点として利用する場合もある。
③ 十分な強度が得られるまでに、時間がかかる。

コンクリートの欠点を補うものとして、鉄筋と複合して使用されることが多いです。
その他にも、用途により、色々なコンクリートがあります。

 

※出典:株式会社PSK


【コンクリートの耐用年数】

耐用年数としては、悪条件で50年。好条件で100年程度と言われています。
そんな中、今回ご紹介する200年間自己治癒するコンクリートに注目したいと思います。


【最先端のコンクリート『バジリスク』とは】

開発者は、オランダ・デルフト工科大学のヘンドリック M.ヨンカース博士。
コンクリート中に、特殊なバクテリアと栄養分のカルシウム有機塩を混入することで、コンクリートにひび割れが発生した際に、バクテリアの代謝活動によって自動的に修復する技術の開発に成功されました。

この技術が、コンクリート構造物の長寿命化およびメンテナンスフリーまたは大幅軽減等の特長を有することが評価され、2015年に欧州特許庁の欧州発明家賞にノミネートされました。

そして、そこに注目したのが、會澤高圧コンクリート株式会社さんです。
この技術のユニークさと将来性等に着目し、実地調査と検証実験を行った結果を踏まえ、2016年6月に、この技術を利用した製品(バジリスク)の日本での独占販売に関する契約を締結されました。


【自己治癒コンクリート『バジリスク』の構造】

この自己治癒システムは、バシラス属のバクテリアを乾燥状態にして休眠させ、乳酸カルシウムといった栄養素と一緒に顆粒化しコンクリート製造時に混入します。

コンクリート硬化後、ひび割れが発生した場合、雨水などの水分が浸入すると酸素を有する環境下でバクテリアが復活し、栄養分を吸収して炭酸カルシウム(石灰石)を生み出しひび割れを閉塞し、内部の鉄筋腐食を防止します。
修復期間は平均で6週間程度。
なお、この特殊なバクテリアは、高アルカリ環境に耐え200年まで休眠することができます。

※出典:コンクリートメディカルセンター

しかも、このバジリスクは、今ある一般的なコンクリートにも補修材として使用できるそうです。

※出典:事業構想

自己治癒するコンクリート〈バジリスク〉の使用前後。
ひびが入り漏水が起きている箇所(左)が、時間経過とともにコンクリ内のバクテリアが増殖、排出する炭酸カルシウムでひびが埋まっている(右)

そんなバジリスクが、遂に市場で販売されるようになりました。

※出典:AIZAWA

価格としては、一般的なコンクリートの倍程度になるようですが、長い目で見たときにはお得ではないでしょうか?
ご興味を持たれた方は、是非もう少し分かりやすく解説されている『バジ』君の解説をご覧ください。

※出典:AIZAWA


【最先端のバジリスクが作る未来】

大規模な公共事業では、既にバジリスクが導入されて来ています。
いずれは、一般的に使用されるようになると考えられます。
そうなれば、コンクリートのメンテナンスに掛る費用が、大幅にカットできることはもちろん想定できます。
そして、震災が多い日本での需要は多く、構造物の耐用年数が大幅にあがると思われます。
そのうえ、バジリスクコンクリートは、200年以上の耐久があると言われているため、その間にもっと耐久性の高い素材が開発されることも予想できます。
古くなったから建替えるという考え方が、少なくなる時代が来るかもしれません。
きっとADGsにも繋がることでしょう。
近い将来、コンクリートは自己治癒するという概念が、当たり前になるかもしれません。