コラム
2023/3/15すべて
床下の湿気対策
床下の湿気対策
3月に入り日照時間も伸びて、だんだんと春の到来を感じられる季節となりました。
2月19日~3月6日頃までを二十四節気では『雨水(うすい)』といいます。雨水とはまさに空から降るものが雪から雨へと変わり、その水分で土が潤いを取り戻し、草木がよみがえりはじめる頃という意味です。草木が芽生える頃で、昔から、農耕の準備を始める目安とされてきました。春一番が吹くのもこの頃です。
環境や生活には欠かせない「水」ですが、床下に溜まった水や「湿気」は住宅にとって要注意です。
屋根や外壁の雨漏り被害はもちろんですが、基礎部分、床下に水や湿気が溜まることで建物自体や生活環境にも被害が出るおそれがあります。
床下の換気対策はお家の寿命を延ばすためには重要な要素の一つです。
【床下の湿気の影響】
・土台の腐れ
木造住宅はメンテナンスさえしっかりできていれば100年以上もつと言われています。木材は乾燥していれば健全で腐りにくいですが、腐る原因は木材中に水分が沁みこんで、そこに菌が繁殖して木材を分解するからです。
「腐朽」「腐れ」は家の強度を低下させる原因にもなります。
特に床下土間の防湿対策不良や換気不良による湿気で基礎木部に水染み・結露が発生し、そこからカビの発生につながりやすくなります。
床下の湿気が原因でお部屋の畳にカビが生えてしまうなんてこともあるんです。
・シロアリ、害虫被害
シロアリは高温多湿で湿った木材が大好きです。また、毒を持つムカデ等の害虫も湿度がある環境を好みます。
シロアリ被害にあった床下 床下コンクリートに蟻道ができています
【基礎の種類】
基礎の種類で対策が必要かどうか変わってきます。
「ベタ基礎」
基本的に床下がすべてコンクリートで覆われているベタ基礎の場合は、湿気対策は不要です。地面から上がる湿気は、12cm以上の厚いコンクリートでほとんど遮られるためです。
「布基礎」
地面がむき出しの基礎です。基本的に柱や壁部分のみに基礎を配置。常に地面から湿気が上がってくるため、湿気対策をする必要性が高いです。
【対策】
・防湿用コンクリート
布基礎の床下土間に防湿シート、メッシュ金網を敷きこみその上に薄い防湿用コンクリートを打設します。防湿シート、メッシュ金網を先に敷いておくことで防湿効果やコンクリートの亀裂予防をします。
あくまで防湿用なのでベタ基礎のように建物を支える強度はありません。
・床下調湿材、調湿シート
強力防湿シートS スーパーグレード品 50m巻(Amazon)
ホームセンター等でも購入可能。
湿気が多い時には吸い込んで、逆に乾燥しているときは吐き出して、丁度良い状態を保ってくれます。
調湿材を選ぶ
商材によって吸湿と調湿の違いがあります。
吸湿・・・空気中の余分な湿度を吸い取る
調湿・・・吸湿だけでなく、必要な時は一度吸湿した水分を放出して湿度を調整する
ゼオライトを使った床下調湿剤は、床下空間の湿度の変化に応じて湿気を吸ったり放出したりと“呼吸”をくり返しながら調湿を行います。炭やシリカゲルを原料とするもので吸湿しますが、加湿しないものもあるのでよく確認しましょう。
【床下換気扇】
床下換気扇は通気が悪く湿気がたまる場合には、強制的に湿気を排出する床下換気扇の設置が効果的です。床下の湿度を抑える効果があります。
設置工事は専門家に相談しましょう。配線作業は「第二種電気工事士」資格が必要です。設置する場所によっては、湿気を外部に換気できない可能性もあるため注意が必要です。
【原因】
・もともと沼地や水田だった土地は、床下に湿気がたまりやすいので地面から湿気が上がってきやすい。
・床下の高さが低い。立地が周辺よりも低い位置にある。
・基礎の通気口が荷物やエクステリア等でふさがっている
主な原因は上記が考えられます。
通気口がふさがっている場合等は自分で対応可能ですがその他の対策は専門家に一度相談してみることをお勧めします。
【まとめ】
近年の住宅は気密性が高く断熱性と換気性に優れたものが多いのですが、昔ながらの布基礎の住宅や湿気の多い土地環境ではどうしても湿気が溜まりやすくなります。
床下換気は、シロアリや害虫、腐朽菌、カビ菌の繁殖を抑え家の寿命を延ばすだけではなく、ダニやカビによる健康被害の予防や、病気の原因となる化学物質を屋外に排出することで、住人の健康面で衛生的な生活を確保できるのです。
一度お住まいの床下をチェックしてみるのも良いのではないでしょうか。
・挿入イメージ画像出典元
「写真AC」 https://www.photo-ac.com/
「いらすとや」https://www.irasutoya.com/
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