匠の技
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メイン事業であるリフォームにおいて、一般的なリフォーム以外にも、近年注目されている古民家再生なども手掛けております。
古民家の改修・リフォームでは、現代の住宅とは異なる知識・技術が必要です。
当社では熟練の職人の確かな技術を駆使し、伝統技術や特長である素材を活かしつつ、より細部までこだわった仕上がりを実現しています。
もちろん、そのような技術は現代の住宅リフォームにも活用でき、
地域の気候特性に合わせた建築様式や耐久性などの機能面、風合いや趣といったデザイン面の幅も拡がります。
限られた職人により一工程一工程、丁寧な手作業で行うため、費用的には安いものではありませんが、確かな技術と満足感がそこにはあります。
- 蔵の再生
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昔ながらの街並みが残る地域で目にする「蔵」。漆喰仕上げの大きな建物は遠目で見てもかなりの存在感があります。土壁と漆喰の優れた調湿性・防火性などの特長を活かし、主に倉庫や保管庫として使われてきました。
弊社でも蔵の再生にはいくつも携わってきましたが、大掛かりなものになると、蔵ごと移設するという事例もあります。この場合、まずは老朽化した柱を取り除き、ジャッキで蔵ごと地面から持ち上げます。持ち上げた状態のまま、切り石を敷き直すなど土台を整え、整ったら蔵をそっと降ろして修復作業を進めていきます。現代の技術や機械を活用することで、一見不可能とも思える工事も実現することが出来ます。このケースでは、蔵を縮小・移設したことで、取り除いた柱側の通路を車が通れるようになりました。より住みやすく快適にすることも再生事業において重要視しているポイントです。
- 漆喰
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漆喰はお城や蔵にも使用されている日本古来の雰囲気を醸し出す材料です。多くの古民家でも使用されており、メンテナンス次第では100年以上持つと言われるほどの耐用年数と「呼吸する壁」とも言われる優れた調湿作用が特長です。また、耐火性にも優れ建築基準法の中でも不燃材として認められています。
性能だけではなく、職人の塗り方次第で風合いを出すなどのデザイン性もあり、土蔵によくみられるなまこ壁やこて絵は漆喰で作られています。薄塗りで乾かしては塗り重ねて…を繰り返し、厚みや濃淡のある彩色が完成します。漆喰を塗るためのコテはその数300種類以上と細やかな作業と技術力が必要なことが伺えます。自然素材としての性質、デザイン性が高く評価される一方で左官職人の高齢化と減少は深刻な問題となっています。弊社では担い手の育成にも注力し、確かな技術を持つ職人による施工を実現しております。
- 垂木
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垂木とは小屋組の一部で、屋根の一番高い棟木から桁にかけて、斜めに取り付けられる棒状の木材です。屋根の下地になる野地板を固定する部材で、傷んでいる場合は「抱かせ」といって添え木での補強や交換を行います。屋根の下地を支える部材のため、しっかりと固定・補強を行います。
前述の通り、屋根を支える重要な部材という一面もありますが、職人の手加工により軒先を彩る装飾にもなります。本来は隠れてしまう部分をあえて表に出し、木のぬくもりや和風の雰囲気を出したり、塗り壁に合わせて白漆喰で仕上げることも出来ます。写真では、茶室として使っていた部屋の軒先の垂木に竹を添え、より一層「和」の雰囲気を醸し出しています。先人のアイデアと職人の技により、雰囲気を活かした再生が実現出来ます。
- 梁
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梁は建造物の骨組みの部分に使用する構造材のことで、垂直方向に設置する柱に対して、梁は水平方向に設置します。
横揺れの強い地震や強風時に加わる水平方向の力を、梁が梁が拮抗することで建物への負担を軽減します。
家の骨組みの部分であるため現代の住宅では壁や天井の中に隠れていることが多く、目にする機会は少ないですが、天井を張らない造りの寺院や城、古民家では今でも室内から格調高い梁を見ることができ、空間の立体感、木の温もりが創出されています。
また、梁には油分が高く粘り強い松が使用されることが多く、古民家でも、現代では希少なジマツなどの樹種が使用されており、経年により色艶が深い味わいを出しています。最近は国産原木の流通量が減り、日本古来の樹種の確保が難しく、輸入されたベイマツなどの使用が主流になっています。
当社の古民家再生事業では、いにしえより伝わる伝統構法や素材を継承する機会と捉え、貴重な資源を活かし、現代和風の造形美を演出します。
- 木の継ぎ
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古民家で使用されている木材は、釘やビスなどの金物を使わずに、継手や仕口など伝統的な技法によって建築されます。本来なら壁の中に隠れてしまうことの多い柱や梁ですが、古いお家で見られる真壁造りは、職人の手による技法で見事な木組みが見られます。
木組みは200種類以上あるとされ、柱と梁をつなぐ長ほぞ鼻栓打ち、梁と梁を繋ぐ追掛け大栓継ぎなど様々です。また、金物の代わりに込み栓や車知栓で木材同士の連結を固定するなど、古くから伝承される職人の知恵と技術が詰まっています。
木組みが隠れてしまう大壁造りと違い、木のぬくもりや心地よさが存分に感じられる空間になります。しかし、現代は工場でプレカットされた部材を使用する事がほとんどで、伝統的な技術を持つ職人が減少しています。弊社では古民家の再生とともに、次世代を担う職人育成にも注力しています。
- 切り石
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入り口や玄関などの導線に、日本古来の雰囲気を出すためにも切り石を使用し、石を敷き並べて石畳を作ります。ただ並べるのではなく石の高さや石と石の間隔などを揃え、必要であれば加工を行います。使用する石は基本的に天然石を使用するので、高価かつ入手困難ではありますが、人工的なタイルと違って風化して少し欠けるようなことがあっても、趣のある雰囲気を保つことが出来ます。敷き方は、前方に向かって長方形の切り石を縦長に敷いていくので、進行方向が分かりやすく、寺社仏閣などの参道にも多く見受けられます。
素材としては、木材同様、天然の石材は年々流通が減っており、人造石が主流になっています。天然の切り石は価格も高騰しており、貴重な素材でもあります。当社の古民家再生事業では、日本古来の雰囲気に合わせ、飽きのこない味わい深い趣を感じられるよう丁寧に修景をしています。