コラム
2022/8/12お役立ち情報
未来の家は、海の上!?かもしれない
【現代の家~省エネ住宅~】
現代の家は、一昔前より断熱性・耐震性・耐火性などが向上していることは言うまでもありません。
そして、エネルギー消費を少なくする工夫がされています。
こういう家を『省エネ住宅』呼びます。
【近未来の家~スマートハウス~】
そして、今後の家はというと、エネルギーを創る・貯める・賢く消費する家になると言われています。
これをスマートハウスと呼んでいます。
スマートハウスになると、IOT(『Internet of Things』=『モノのインターネット』)技術で、家電がインターネットに繋がり、スマホなどで遠隔操作が出来るようになり、アプリなどで施錠・電気の消し忘れなども知らせてくれます。
そのうえ、高齢者の見守りや健康チェックにも期待ができます。
そこにAIが加わり、様々なことを分析・予測をしてくれるようになり、自動で最適化してくれるといいます。
これでも、充分未来の家に思えるのですが、もう実際に建築されてきています。
ほとんどが新築での採用になるため、一般的に普及するのは、もう少し先のことでしょう。
ただ、何となく想像できるのではないかと思います。
【未来の家は、何処に住むかが鍵!?】
では、スマートハウスの先にある『未来の家』はどういった家を想像しますか?
多くの人は、よく映画などで見る未来都市を創造するのではないでしょうか。
大気汚染や異常気象、そして海面上昇などで、低い陸地に住めなくなるような映画は多いですよね。
世界で、カーボンニュートラル(温室効果ガスの実質排出ゼロ)を達成できたとしても、実際地球がどこまで変化するかは、未来にならないと分からないものです。
遠い未来の家は、スマートハウスを何処に建てるのかが鍵になりそうです。
そんな中、海に住むという構想が多く目につきます。
その一例を紹介していきたいと思います。
【建築家が想像した未来都市『オーシャンスクレイパー』】
パリを拠点に活動する建築家のヴィンセント・カレボー氏が発表したもので、サステイナブル(持続可能)で、リオデジャネイロの沖に浮かぶ街をコンセプトにしている『オーシャンスクレイパー』です。
3Dプリント技術を使って作られたこの都市では、タービンが海の流れから電力を蓄え、バイオリアクターによって有機廃物がリサイクルされ、海洋酸性化を解決するためにバイオ燃料生産を行うといいます。
カレボー氏は、人々が海に住む目的について「自然に敬意を払った方法で深海を探検し、イノベーションを促進して、新しい無尽蔵の再生可能エネルギーを利用可能にすること」だと説明しています。
残念ながら、このカレボー氏の壮大な計画が実現される予定は無いようです。
ただ、もし実現できるようになれば、大変面白そうですよね。
【究極の海上ハウス兼ヨット『Arkup』】
アメリカのフロリダ州を拠点とする企業Arkupが、自由に海上移動しながら、究極の贅沢な暮らしを満喫できる世界初の太陽光発電居住型ヨットを既に販売しています。
全ての窓は、カテゴリー4のハリケーン風速に耐えられるように設計されています。
荒れた海の中で停止する場合は、水上から最大30フィート(約9メートル)上昇させることで、水面から十分な高さを保つことができるようです。
そのうえ、ジャッキを付けて揺れを抑え安定させることが可能だそうです。
屋根には119個のソーラーパネルが設置されていて、182kwの電気を蓄えられるバッテリーを備えており、ここでの生活に必要な電力を全て賄うことができます。
水は雨水を浄化して、飲料水や生活用水に変換するシステムが搭載されてあり、4000ガロン(約15000リットル)の真水がタンクに貯蔵できるとのこと。
現在約6億円で販売されていて、レンタルも可能です。
何棟かが連結したような、ヴィラタイプなどもあります。
普通に買える価格ではありませんが、誰もが憧れてしまう内容ですよね。
国や地域にもよりますが、固定資産税は掛らないようです。
【生き物と同化する優しい未来型ハウス『Water Nest 100』】
ローマに拠点を置く、イタリア人建築家Giancarlo Zema氏は、海洋公園や水中庭園、フローティングスペースをはじめ、水辺の建造物に特化した異色の建築デザイナーです。
ウォーターフロントを知り尽くした彼が、新たにデザインしたのは、生物たちの生態系を邪魔しない生活空間。
屋根の上に配されたおよそ60平米の太陽光発電パネルで、家屋のすべての電力をまかなう仕組み。
直径12メートル、高さ4メートルの『Water Nest 100』は、パーテーションを組み変えるだけで、住居からオフィス、レストランやバー、ショップ、展示ラウンジへと用途に合わせてアレンジが可能な設計。
すでに中東の国カタールでは、先の「2022FIFAワールドカップ」開催に向けて、「フローティングホテルにWater Nest 100の採用が決定。 Zema氏に発注を開始した」と、「ArchitectureDesignDIY.com」は、このニュースを大々的に報じています。
ちなみに基本価格は、およそ50万ユーロ(約6,760万円)。
前述の『Arkup』 よりは、かなりお手頃になり、ランニングコストも抑えられそうですよね。
何より、コンパクトであり、すごくお洒落に見えます。
【現代のノアの方舟『N-ARK(ナーク)』】
気候変動の影響によって地上での生活が脅かされる未来に備えて、気候変動時代に適応していく住環境作りを目指す海上都市計画『N-ARK』。
日本の静岡県にある株式会社N-ARKは、海から建築を再発明し、気候変動時代に適応していく住環境作りに取り組まれています。
代表の田崎有城さんは「この建築は現代の”ノアの方舟”です。何かあったときにはこの建物の中だけで生きられる。そして家ごと自由に移動するようになり、その新しいライフスタイルが人の意識をより柔軟に変えていってくれるはず」と話されています。
“Yahoo! JAPAN SDGsより”
このアイデアを実現する手段として、海に適応する『耐塩建築技術』と、海上でも作物を確保できる『海水農業技術』の開発を進めているといいます。
その第一歩として、2022年に海上ファーム『グリーンオーシャン』の建設が予定されています。
海上には、塩性農業技術を活用し、食糧生産を目的としたファームが生み出すグリーン。
もう一つは、海面下の藻類等の栽培によって海中環境改善を目的としたグリーン。
グリーンオーシャンを沿岸部に浮かべると、海の上下空間に二つのグリーンを生み出します。
そして、レストランやオフィスなどの建物を増やしていき、人が海と共に住めるような環境開発を目指していくとのことです。
現在、N-ARKは地方自治体や企業に提案をしている段階のようです。
一緒にプロジェクトを進める自治体や企業が決まり、製作と実証実験を繰り返す期間は2〜3年を想定しているとのこと。
田崎さんは、「現在の都市はあまりに自然環境と分断するようにつくり過ぎたので、いきなり自然回帰するのは難しい。N-ARKは、ライフスタイルデザインを行うことも含めて考えているので、海という環境に人が慣れていくためのグラデーションをどのようにして設計できるかは、大きな挑戦だと思います」と語られている。
“Yahoo! JAPAN SDGsより”
一つの家を造るのではなく、海上に都市を造り、そこに人が暮らしていける環境を造りとかなり大きな構想のように思います。
ただ、実際に暮らすことを考えたとき、そこに長期的に住める環境がないと持続できないのは確かです。
【必要なのは海上住宅より、海上環境の整備】
いままで、紹介させていただいた海上住宅に共通することは、自然環境を壊さず、環境と共存していることではないでしょうか。
快適な海上住宅である『Arkup』や、別荘のような『Water Nest 100』のような海上住宅は、今後も多く出てくるでしょう。
そして、海上都市『N-ARK』のような都市があれば、海上住宅をセカンドハウスとせずとも快適に過ごせるようになるのではないでしょうか。
陸地にこだわらなくとも、海の上でも快適に住むという未来は、そんなに遠くはないでしょう。
今後の開発に期待していきたいものです。